金融機関と保証協会の関係を知りましょう。

保証協会の保証付き融資は、審査をするのは保証協会ですから、基本的にはどこの金融機関から申し込んでも同じ結果となります。今回は、保証付き融資を2度断られた企業が、数か月後に別の金融機関で保証協会の承諾を得られた事例を紹介します。
弊所が財務部長を代行しているA社の事例です。

アパレル小売業を営むB社長は、日本政策金融公庫の創業融資を受けて独立しました。
その後、当初の想定を上回る売上を計上したため、決算の1か月前に増加運転資金が必要となり、日本政策金融公庫とX信用金庫に融資の相談をしました。現在の業績と今後の業績見込みを説明したところ、どちらの担当者も前向きに相談に乗ってくれ、日本政策金融公庫は追加融資、X信用金庫は保証付き融資を申し込むことになりました。
A社にとっては初めての保証協会利用です。

X信用金庫の担当者を通じて保証協会に打診した結果、保証協会からは「前向きに検討が可能なので、1期目の決算書が出来上がってから本申込を入れてください。」との回答を得ました。
一方、日本政策金融公庫は、「すぐにでも(決算前でも)追加融資が可能。」との回答です。

直近で借入がある場合、新たな融資を見送られるケースがあるため、日本政策金融公庫の融資を先に受けても良いかをX信用金庫の担当者に相談しました。回答は、「日本政策金融公庫にも、融資の申込をしていることは既に協会にも伝えてある。問題は無いと思うが、念のため、決算書に借入残が出ないよう来月1日に融資を受けてもらえないか。」というものでした。
よって、X信用金庫の担当者の指示通り、決算月の翌月の1日に日本政策金融公庫から融資を受けました。

それから1か月後、X信用金庫の担当者が転勤になってしまいました。このX信金の担当者は、金融マンとしての情熱とスキルを持ち合わせており、これまでも多くの関与先様の難しい融資案件を引き受けてくださった方です。担当が変わってしまうことに不安はありましたが、本件に関しては、「決算内容も良く、保証協会の担当者も前向きでしたので多分大丈夫でしょう。」との見解をもらっていたため、あまり気にしていませんでした。

さらに1か月後、決算書が出来上がった時点で、後任の方を通じて保証協会に本申込を行いました。断られることは想定していませんでしたが結果はNGでした。後任の方にNGとなった理由を聞いても、「良くわかりません。」とあっさりしています。後任の方の経験が浅いため、保証協会の本音を引き出すことが出来ないのか、もしくは、私との付き合いが浅いため、警戒して本音を言ってくれないのか判断がつきかねましたが、NGになった理由を聞き出せなければ今後の対策を打ちようがありません。A社の業績が悪ければ、業績が理由であることは容易に推測できますが、業績は悪くありませんでしたので余計に不安です。断られる理由として考えられるのは下記です。

・直近で公庫の借入があり、これ以上の資金は不要と判断された。
・わずかではあるが、社長への貸付金が発生しており、これが問題視された。
・(個人信用情報など)自分も知らない決定的なネガティブ要因がある。Etc

NGの理由が「直近で日本政策金融公庫から融資を受けているのでもう少し様子を・・・」ということであれば何ら問題ありません。しかし、勝手な誤解や勘違いがNGの理由として記録されてしまうと、今後新たな融資を受けるのが難しくなる危険性があります。
A社にとっては初めての保証協会取引ですので、このような事態は避けたいところです。

・・・その2につづく

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