「ビジネスモデルのブラッシュアップ」

時代は移り変わります。ビジネスの環境も、顧客や取引先のニーズも変化します。昔うまく行ったこと、今うまく行っていることが、将来もうまく行くとは限りません。「継続的な変化への対応」が必要です。
今年はビジネモデルのブラッシュアップに意識して取り組んでみませんか。このための時間を十分に確保してください。

■ビジネスモデル=『ビジネスの型』とは何か?

売上を伸ばしながら、利益を上げる…このサイクルを上手に回しながら継続的に進化発展するための事業の『型』が必要です。
この『型』のことをビジネスモデルと呼びます。このビジネスモデルの良し悪しで会社の行く末が決まります。

良い『型』が出来上がれば会社は伸びます。この『型』が悪ければ成長を阻害します。また、今は良くても時代とともに『型』が進化しなければ陳腐化します。

商品やサービスとビジネスモデル『型』は別物です。良い商品やサービスが有っても、ビジネスモデルが出来上がっていない会社は少なくありません。これが出来上がらなければ会社は成長しません。

これがビジネスモデル『型』です。

○自動車メーカーは製販一体型のビジネスモデルです。販売も自社のグループで行っています。一方、家電メーカーはある時に販売網を開放しました。結果、前者は、メーカーが価格決定権を有していますが、後者は、大手の流通業に価格決定権を渡してしまいました。家電メーカーがどんなにすばらしい新商品を開発しても、即座に値引き競争に巻き込まれています。これは、販売網の差にあるとの見方もできます。諸々の事情があり、容易に善し悪しの議論はできませんが、これがビジネスモデルの差です。

○中小の製造業は、大手製造業の系列に治まることで、安定受注を維持していました。中小製造業に取って、当時は下請けこそが最善のビジネスモデルでした。ある時を境に、部品の海外発注と系列の自由化が始まりました。下請型のビジネスモデルは、完全に破たんしました。
自社を取り巻く環境を熟慮して、どの立ち位置でビジネスを回すのか、これもビジネスモデル『型』です。

■『守・破・離』とは…

○まず『守(しゅ)』、まねることから始まります。
先人の知恵をまねることは重要です。良いものは徹底的にまねる、ここからすべては始まります。
(※権利関係が法律や信義則で守られるもののまね方は正しく対応してください。)

○次に『破(は)』、新しいものを付加してください。
この付加することを、殻から飛び出す意味で『破』と呼びます。
良いものをまね切った後に、飛び出してください。

○最後に『離(り)』のステージです。
まねるから始まったことが、殻を飛び出して、最後はオリジナリティーを生みだすことを言います。

人や会社が成長して、最後は自分だけの何かを築きあげるプロセスを表しています。『守・破・離』の意味をご再考ください。

■ビジネスモデルの『守・破・離』。
今現存する会社のビジネスモデルのほとんどは、他社・他人のまね『守』です。

○飲食店で長期間勤め上げて、その経営実態を学んで独立した方は、多くのノウハウを勤め先の会社から学んでいます。

○人材ビジネスの世界における大手R社の存在は大きいようです。R社出身の人たちが、独立して類似する会社をどんどん立ち上げます。これらの起業家も、ビジネスモデルの基本部分をR社からまねています。

○後継者がビジネスを引き継ぐ時も、先代のビジネスモデルを踏襲することから始まります。

○我々税理士事務所も同じです。国家ライセンスを背景にした税務顧問業を担う、これがビジネモデルの基本です。
ビジネスモデルはまねること『守』から始まります。良いことです。但し、その後の対応で明暗が分かれます。

■進化しないビジネスモデルは必ず陳腐化します。

良いビジネスモデルは徹底的にまねればよいのですが、多くの会社は、学んだビジネスモデルを進化させることができていません。何年も、何十年も同じことを繰り返す事に終始して、新たなアイデアを付加することができていません。

○過去の勤務先で学んだ飲食店経営ノウハウに、新しい発想や工夫をどんどん付加していかねばなりません。
商品開発・販促方法・店作り・従業員教育等々、どんどん発明して付け加えてください。

○大手人材ビジネスをまねただけの中小人材ビジネスは大成しません。自社固有の強みを生かした、独自のビジネスモデルを付加できた会社のみが成功しています。

○先代の経営を肯定し、その長所を良く理解した上で、新たな試みにチャレンジしてください。

○我々税理士事務所も同じです。税務顧問業を超える新たな業務領域に挑戦していかねばなりません。

進化論を唱えたダーウィンは、「この世に生き残る生き物は、最も力の強いものか。そうではない。最も頭のいいものか。そうでもない。それは、変化に対応できる生き物だ」と言っています。
(注意:ダーウィン自身がこの言葉を残したかどうかについては、専門家の間でも意見が分かれているようです。)

変化に対応するために、ビジネスモデルのブラッシュアップに意識して取組んでください。

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