「経理に対する無知の損」

『無知の損』と言う言葉の意味をご存知ですか?
知らないが故に損をしていると言う意味です。

『無知の損』、読者の皆様にはありませんか?
優秀な経営者(候補)が、財務・経理を知らないで大損しているケースは少なくありません。
『無知の大損』です。

「PL(損益計算書)は理解できるが、BS(貸借対照表)がわからない」とおっしゃる社長がおられます。
本当は、PLも良くわかっておられない社長も少なくありません。

確かに、PLの方がわかりやすいようです。それは、お金の入りから出を引いて、残った分が利益、と考えるからでしょう。
ここにも大きな落とし穴があります。間違えです。

○経理は発生主義です。現金主義ではありません。お金の出入りと、PL上の売上や費用の計上とは一致しません。
・サービスの提供が終了した時点で売上は立ちますが、入金はその後です。この時点で、お金は入っていません。
・逆に、商品を購入した時点で費用が発生しますが、支払いはその後です。この時点で、お金は支払っていません。

○減価償却と言う概念は少し難解です。機械を購入して全額支払ったのに、PL上には少ししか費用が計上されません。
・購入金額全額を支払っても、費用に計上できるのは今年度の期間(償却)分のみです。

○借入れの金利は経費なのに、返済金はPLには出てきません。
・借入れを起こして増えたお金も、返済して減ったお金も、利益とは関係ないのでPLには計上されません。

○原価と販管費の差が良くわからない。同じ費用でも全く意味合いが異なります。どんな意味があるのか?
経営にどう影響するのか?
・原価は売上に紐付く費用、販管費は売上とリンクしない費用です。

○利益にも、営業利益、経常利益、税引き前利益がありますが、その差は何?
等々

これらの事がわかった上で、「PLは理解できる」とおっしゃるならその通りですが、上記に疑問が残るなら、PLもわかっていないと自覚すべきでしょう。

BSは、厄介に感じます。
○なぜ「バランスシート」と呼ぶのでしょうか?右側に調達した方法が記載され、左側にそれが何に使われているかが記載されています。右と左の金額は当然同じになります。

○上に行くほど、資金の移動が速い科目になっています。

○会社の過去からの集積の結果、その時点での財産目録の様なものです。良くできています。

PLとBSを並べて三期分見れば、会社の実態がほぼすべてわかります。荒い決算書であれば多くの疑問が残り、詳しい決算書であれば深くわかります。

会社と社長の実態が一致しているのなら、「こんな生き方をされておられるのだろう」社長の人生も想像できます。決算書とは文明の利器のひとつです。すごいツールなのです。

貴社の決算書は、銀行融資や取引先からの与信管理等、様々な場面で使われます。会社や社長自身の成績表です。大切に扱ってください。

また、決算書は、経営者にとって最も信頼に値する有益な基礎資料です。この基礎資料を無視して経営するよりは、有効に活用した方が良いはずです。

○現状の原価を知らずに(本当は)「値決め」はできません。

○減価償却額や資金繰りを知らずに(本当は)「投資」はできません。

○販管費の項目ごとの推移を追わずに(本当は)「経費管理」はできません。

○資金繰りが微妙な状況なら、資金繰り表を重宝してください。
等々

少しでも会社を伸ばしたい、より優良な取引先を開拓して事業を拡大したい、金融機関からも資金調達したい、と考えておられる社長様は、是非経理の勉強にも励んでください。
くれぐれも『無知の損』にならないようにお願いします。

我々、銀行融資プランナー協会正会員事務所は、
・より良い決算書作り
・クライアントの『無知の損』の撲滅
に励みます。

ご遠慮なくご質問ください。

〇 本情報の信頼性の向上には最善を尽くしていますが、その正確性を保証するものではありません。