■よくあるマネージメントの愚行です。
『第一線の営業マンとして頭角を現したA君、主任に昇進させてチームを持たせたら、途端に覇気を無くしてしまった。将来の幹部候補生として期待していたが、係長への昇進も当分見込めない。』
『営業部長として営業の中核部門を背負ってくれていたB部長、営業成績を長期間維持、向上させた功績で取締役に昇進させて経営陣に加えたが、経営者としての手腕は発揮されない。平の取締役で生涯を終えてもらうことになりそうだ。』
第一線の営業マンとして優秀であったA君を、不得手なマネージャーに昇進させたうえで放置する愚行を行っています。
敏腕営業部長を、不得手な経営陣に昇進させたうえで放置する愚行を行っています。
■ピーターの法則〔ウィキペディアより引用〕により、上記の愚行が提唱されています。
〔南カリフォルニア大学教授の教育学者ローレンス・J・ピーター(Laurence J. Peter)によりレイモンド・ハル(Raymond Hull)との共著 THE PETER PRINCIPLE の中で提唱された。日本では1969年、『ピーターの法則―〈創造的〉無能のすすめ(ローレンス・J・ピーター/レイモンド・ハル 田中融二訳)』
がダイヤモンド社より出版された(2003年再版の新訳は渡辺伸也)。〕
1.能力主義の階層社会では、人間は能力の極限まで出世する。
すると有能な平(ひら)構成員も無能な中間管理職になる。
2.時が経つにつれて人間はみな出世していく。無能な平構成員はそのまま平構成員の地位に落ち着き、有能な平構成員は無能な中間管理職の地位に落ち着く。その結果、各階層は無能な人間で埋め尽くされる。
3.その組織の仕事は、まだ出世の余地のある、無能レベルに達していない人間によって遂行される。
■仕事のランクを順位付けします。(極めて大雑把な概念ですが。)
レベル1:指示を受けて指示通り仕事を執行できるレベル。
レベル2:自分ひとりの仕事を自らの裁量で執行できるレベル。
レベル3:部下をマネージメントして仕事を執行できるレベル。
レベル4:多くのマネージャーをマネージメントできるレベル。
レベル5:経営できるレベル。
このランク付けのようなイメージで、人を評価して昇進させるのが一般的な人事です。
例えば、レベル2が出来たらレベル3に昇進します。この時、
・レベル3に順応できれば、次はレベル4に昇進します。
・逆に、レベル3に順応できなければ、レベル3に不本意ながら留め置くことになります。
降格人事は難解だからです。
結局、実力の一つ上、本来対応できないランクで人は留まることになる、『ピーター』は言っています。
■この愚行を行わないためには…
・ワンランク上の仕事の訓練を行い、適性を見てから昇進させる。
・または、不適切が判明したら、元の地位に戻す。
この二つしか選択肢はありませんが…二つとも容易ではありません。ただ、マネージメントの愚行を戒める『ピーターの法則』を、経営者は理解しておきましょう。
■最後に
・レベル2ができない人は一人で食っていけません。
独立しても失敗します。
・レベル3ができない人は人を使えません。
一人社長で生きていきましょう。
・レベル4ができない人は大きな会社を作れません。
小規模で生きていきましょう。
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