資金調達がうまくいかない事例…銀行との折衝現場で起きている間違った対応とは
銀行融資プランナー協会では、企業の成長を目的とした「資金シミュレーションと資金調達サポート」を積極的に行っておりますが、「銀行から融資を断られた」といった後ろ向きのご相談を受ける機会も少なくありません。
ご相談に来られた企業様を見てみると、本来は資金調達が可能な財務内容であるにも関わらず、融資を断られているケースが見受けられます。融資を断られてしまう理由を実際の相談事例に基づいて解説します。
運転資金を調達したい場面で、業績の見込みについてヒアリングを受けた時に「将来的には○○の事業にも参入して…」等、随分と先の事業プランを説明してしまうことがあります。
将来性の高さを訴えたいことは分かりますが、具体的でない事業プランは雑談の域を出ません。
銀行員が求めているのは、「借りた資金を現業でどのように返済していくのか」という現実的な回答です。
社長ですから頭の中に大きな構想があるのは良い事ですが、裏付けの無い構想を口頭で長々と説明するのは得策ではありません。
事業に対する情熱のあらわれかと思いますが、銀行員は裏付けの無い話を好みません。
一通りの説明をうかがった後に、「実はこの会社は社員に早く譲りたいと考えています。私が本当にやりたい事業は…」と言う説明を受けたことがあります。「ワンマンではなくパブリックな経営を目指している」ことを伝えたいのでしょうが、設立してまだ数年の会社です。自分の会社に対する責任や愛着が無いように映ります。銀行員の立場からすると「この社長に融資をしたい」というモチベーションが湧きません。不用意な説明は相手を困惑させるだけです。
個人事業主として数年やっておられた方が法人にするときには、個人の事業資産や負債を法人が引き継ぐ「法人なり」が一般的です。
同じ業種であるのに、個人の資産や負債を引き継がない「新会社」は違和感があります。
本人は、特に深い意味がある訳では無さそうですが、銀行の常識で考えると「何か裏があるのでは」となります。
銀行の常識に逸脱しておりますので、そこには何らかの説明が必要になります。
銀行員が最も嫌うのは「良くわからない」会社です。
代表的なのは会社を複数に分けているケースです。会社が複数あるとグループ全体で利益が出ているのかどうかが分かりにくくなりますので、合算バランスシートなどの補助資料が必要になります。
銀行員の立場からすると、分析に手間のかかる複雑な企業よりも、シンプルな会社の方が良いに決まっています。本当に融資を受けたいのであれば、企業側が手間をかけて補助資料を作成する必要があります。
本来受けられるはずの融資が断られる理由は、些細な説明ミスや資料不足です。銀行の常識や考え方を良く理解し、間違った対応をしないよう心がけましょう。
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