「消費者がより必要とするものを、適切な価格で提供する」マーケットインの発想が正しいとされてきました。
もちろんマスマーケットに打って出るなら、この発想は大変重要でしょう。
一方、中小零細企業は、限られたコア技術しか有しておらず、また、大量販売する広告力も持ち合わせないため、コア技術を活用した、ある種の「プロダクトアウト」の発想で商品開発を行うしかありません。
さらに、低コスト生産ができるはずもなく、価格競争の土俵にも立てません。
であるならば、コア技術を突出させて、とんでもない味や機能を、原価を無視してでも提供できる高額商品へのチャレンジが現実的です。
世の中にはすごい商品がたくさんあります。
■一本(3斤)3,143円の高級食パンがあります。
予約の通信販売のみで毎日100本完売するそうです。他にも高級なパンがずらり品揃えされています。
最高の原材料を使い、厳密に温度管理された状態での超長時間熟成等、最高のパンを作るために一切の妥協を排除したようです。その結果が一本(3斤)3,143円なのでしょう。
http://www.recette.co.jp/quality/index.html
■バイタミックスTNC5200は、83,000円(税抜き)の高級家庭用ミキサーです。
パワーと耐久性が他の商品と比べて桁外れ「どんなものでも確実に砕ける」そうです。
これが売れているそうです。
http://www.vita-mix.jp/product/
■掃除機?のダイソンはメジャーですね。
この商品も一般的な類似商品の数倍の価格構成になっていますが良く売れています。
断トツの吸引力がうたい文句になっています。
https://www.dyson.co.jp/
■トゥミのバッグも通常のビジネスバックの数倍以上の価格設定になっています。
その丈夫さ、機能性、デザイン性の追求からくるブランド力で成長しています。
http://www.tumi.co.jp/shop/default.aspx
上記はすべて、競合商品の常識価格の数倍以上の価格設定の商品です。
裏を返せば、価格に縛られずにとことん満足いく良いものを作ったら、数倍の価格になってしまった、と言うことでしょう。
ただ、味や機能がその分突出しているはずです。
この他社を寄せ付けない味や機能が、数倍以上の価格を維持できる秘訣なのでしょう。
その他、
■ハーゲンダッツのアイスクリーム
http://www.haagen-dazs.co.jp/
■ゴディバのチョコレート
http://www.godiva.co.jp/
等もあります。
中小企業がマーケティングの対象にすべきは、これらの高額商品ではないでしょうか?
中小零細企業が必要とする売上はほんの数億円から十億円程度です。
数百億円も、数千億円もの売上をいきなり狙う必要はありません。
であるならば、得意な分野(コア技術)で、最高品質のとんでもない商品を作り、ほんの一部の人に高く買ってもらう商売(=アッパーニッチ戦略)を狙ってみたらいかがでしょうか。
販売価格(原価)の呪縛を外した時に、とんでもない商品が出来上がるかもしれません。
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