■日本企業は、諸外国に比べて、その昇進スピードが遅いとされています。
◆昇進年齢(平均)
〔出所:リクルートワークス研究所〕
課長昇進 部長昇進
米国 34.6歳 37.2歳
インド 29.2歳 29.8歳
中国 28.5歳 29.8歳
タイ 30.0歳 32.0歳
日本 38.6歳 44.0歳
上記の結果は、従業員をできるだけ公平に扱うことで、多くの従業員のやる気をできるだけ長く持続させようとする日本型経営と、優秀な人材のやる気を主眼に置いて考える米国型経営の違いといわれています。
優秀な人ほど、早い評価を求めます。待てません。優秀な人材が離職する理由はここにもありそうです。
人事経済学、組織経済学、労働経済学、および産業組織論。企業の人事政策、組織形態、チーム生産、企業内イノベーションに関する理論および実証研究の第一人者でおられる東京大学社会科学研究所・大湾秀雄教授のメッセージをヒントに、今後の人事・教育・評価、マネージメントについて考えてみましょう。
■提言1:
『日本企業は早い選抜に変われ!まずは、研修内容を全体の底上げを目的としたものから、リーダー育成の選抜的なものに変えよ!』(大湾秀雄教授)
『…同質的な社員を前提とした組織では厳しい競争を戦っていけません。…ではどうしたらいいか。まずは「遅い昇進」を改める必要があります。一足飛びに早い昇進に移行するのは難しくても、「早い選抜」は可能です。…有能な従業員に会社の期待を早く開示すれば、成長への意欲を高めることになる。…』
(※)と解説されています。
■提言2:
『チームを活用せよ!』(大湾秀雄教授)
『…1990年代以降、チームの導入が、ITの活用と相まって欧米企業の生産性を引き上げたといわれています。日本企業は、生産現場ではチームを活用してきましたが、ホワイトカラーでは導入が遅れていました。さらに今後異質で多様な人員構成になれば、従業員同士の利益が相反する場面も増えます。その問題を解決するためにもチームは有効です。…』
(※)と解説されています。
■提言3:
『「後継者プラン」を導入せよ!』(大湾秀雄教授)
『…部長や課長が自らの後継者を決めてコーチングを行い、それを本人の評価項目にするのです。人事経済学では、管理職が部下の育成に大きな影響を与えるという研究が多くあります。例えば、上司の質が標準偏差で1上がると、部下の生産性が10%上がるといわれます。上司の影響が長期にわたるという研究結果もあり、それだけに管理職の能力向上は重要な課題です。後継者プランには別の目的もあります。私は、今後日本企業の人事機能が分権化すると考えています。…すべてを人事部で管理できなくなる。それを補完する点でも、現場のマネージャーが重要になるのです。…』
(※)と解説されています。
限られた人材をいかに有効に活用するか、経営資源の限られた中小企業でも採用できそうな、現実的な内容をご提言いただいています。過去から受け継いだ、ありきたりな制度を漠然と踏襲するのではなく、自社独自のマネージメントにチャレンジしてください。
■提言1:
『日本企業は早い選抜に変われ!研修内容を全体の底上げを目的としたものから、
リーダー育成の選抜的なものに変えよ!』
■提言2:
『チームを活用せよ!』
■提言3:
『「後継者プラン」を導入せよ!』
※週刊東洋経済、2015年9月12日号、大湾秀雄教授の記事から引用させていただきました。
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