「創業融資は事業計画が重要」と言われます。正しい認識ですが、事業計画が一番重要かと問われると答えは違います。金融機関は将来の計画よりも、これまでの実績を圧倒的に重視します。計画はいくらでも作れますが、過去は決して変えることが出来ないからです。金融機関の審査担当者のつもりで、下記創業融資事案の審査をしてみましょう。
【事業計画の内容】
非現実的ですが、最高の事業計画書の例として考えてください。
◆事業プラン:
行先を告げてドアを開くと好きなところに瞬時に移動できる装置「商品名:どこでもドア」の開発・販売事業
◆開発計画:
瞬間移動理論の第一人者であるマサチューセッツ工科大学の○○教授を招聘し商品化を行う。
◆マーケットの考察:
全世界のエアライン売上高、鉄道会社売上高、バス会社売上高、タクシー売上高、自動車販売高・・・合計○○兆円の市場のうちシェア10%を見込む。
◆販売計画:
全世界のコンビニエンスストアにどこでもドアを設置し、利用者から移動距離に応じた利用料を徴収する。初年度売上目標○○円、経常利益○○円・・・
◆融資申込金額:
事務所の取得費や人件費として創業融資2,000万円の融資を希望。
細部に渡って矛盾の無い素晴らしい事業計画書で、成功しそうな雰囲気が漂います。しかし、ご本人のことに話が及ぶと・・・
◆自己資金:
15万円
◆これまでのキャリア:
学校卒業後、正社員として勤めるも1年で退職、以降コンビニエンスストアでアルバイト勤務8年間。
◆創業の動機:
コンビニエンスストア勤務時に上記アイデアを発案し、生涯をかけて取り組む価値のある事業であると感じたため独立を決意。
重要なのは計画書の出来よりも事業実現の可能性です。ご本人のキャリアを否定するつもりはありませんが、この事業に取り組むのにふさわしいキャリアではありません。本件は極端な例ですが、事業計画よりも、その計画を行う人物のキャリアが重要であることがお分かり頂けると思います。
■ 計画よりも実績が優先します。
既に事業を数年間営んでいる企業であれば、まず、過去の決算書で融資の審査がなされます。創業融資の場合は、事業の実績はありませんので、個人のこれまでの実績が判断材料になります。もし、上記の融資を申し込んできた方が、大学教授を30年間務めており、数々の受賞歴と著書を持ち、自己資金も3,000万円有していたならば結果は違っていたかもしれません。
創業融資の絶対条件はキャリア(これから取り組む事業の経験・実績)と自己資金です。この2つのうち、どちらが欠けても審査に通るのは大変難しくなります。残念ながらどんなに素晴らしい事業計画書でもこの2つを補完することは出来ません。
今現在独立を目指している方は、既に審査が始まっていると考えてください。当事務所にて、独立までに準備しておくことをアドバイスさせて頂きます。
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