設備投資をする際に、借入を行うのが面倒だからと、取り敢えず口座にある資金で賄ってしまったことはございませんでしょうか。
設備資金の借入れを運転資金に流用した場合は明確なペナルティがありますが、運転資金の借入れを設備資金に流用してもペナルティはないため、この様なことが度々起きてしまいます。
この場合、口座にあった資金が利益の積み上げで得た自己資金、もしくは長期の借入で調達している資金であれば問題はありませんが、短期の借入や、買掛け、未払いで調達している資金であれば資金繰りに悪い影響を与えます。
一般的に設備資金の回収には長期を要します。1,500万円の機械を購入した場合、1年で1,500万円を回収できることは稀です。仮に5年で回収できるとした場合、1年あたりの回収金額は300万円となりますが、機械購入資金の出所が3年返済の運転資金借入であった場合、1年あたりの返済額は500万円です。年間200万円が不足します。
ここで不足する200万円を新たな運転資金借入で調達しようとしても、金融機関はネガティブです。理由は、この200万円は経常的な営業取引で発生する運転資金ではなく、500万円の返済を穴埋めするための資金だからです。専門的には返済はね資金と言いますが、借入の返済を借入でまかなう構図は嫌われます。
金融機関は「短期と長期」、「運転と設備」という形で資金を色分けしています。
短期的な資金不足を賄うのは短期もしくは長期の借入、長期的な資金不足を賄うのは長期の借入が原則です。決して長期的な資金不足を短期の借入れで賄ってはいけません。
自社の長短バランスが適正かを知りたい場合は「固定長期適合率」を見てください。
固定資産÷(長期借入金+自己資本)で求めることが出来、100%以下が理想です。
設備資金は設備投資を行う時にしか借入れができませんので、面倒でもその都度見合った資金調達を行いましょう。また、固定長期適合率が100%を超えている場合は、借換えなどによるバランスシートの改善が必要です。
いずれの場合も当事務所にご相談頂ければご対応致します。
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