明日も、来月も、来年も、安定した売上が上がる蓋然性を示しましょう。
銀行は決算書に基づいて融資審査を行います。
しかし、単なる結果数値だけでなく、売上高や利益といった数値の中身についても検証しています。
着眼点は「事業基盤を確立しているか。」です。
事業基盤とは継続的に売上や利益を上げるための土台です。
一般的には経営の三要素である「ヒト、モノ、カネ」が代表的ですが、最も重要な要素は「顧客」です。
「安定して売上や利益を上げられる営業基盤を確立出来ているか」が審査ポイントのひとつです。
■ これから事業を開始する創業者の場合
当然ながら営業基盤を確立出来ていない状態です。営業基盤を0から構築することは大変困難です。
融資対象としてはリスクが高すぎますので、殆どの民間金融機関は融資を行いません。
■ 1期目で単価3,000万円の商品を3件販売した年商9,000万円の企業の場合
年商9,000万円ですので一見良さそうですが、1件の単価が大きいため、販売件数によって売上高が大きく乱高下します。
仮に来期は2件しか販売出来なかった場合、売上高は3分の1も落ち込みます。
来期以降も安定して9,000万円の売上を上げられるか疑問ですので、営業基盤を確立しているとは言えません。
■ 単価3,000万円の商品を、5年連続毎年3件ずつ販売した年商9,000万円の企業の場合
先の企業と同じ営業形態ですが、5年連続毎年3件ずつ販売した実績がありますので、確固たる営業基盤を確立しているとは言えないまでも、6年目も3件販売出来る蓋然性は高まります。
■ 客単価3,000円で延べ顧客10,000人を獲得した年商3,000万円の飲食店の場合
販売先が分散しており、急に売上が半減するとは考えにくいため、年商は小さいながらも一定の営業基盤を確立していると評価出来ます。
利益が出ていることが前提ですが、当該飲食店の実力相応であれば融資の検討は十分に可能です。
融資の返済額は毎月一定ですので、売上や利益が乱高下するより、日単位、月単位、年単位で安定した売上と利益を上げられる企業の方が評価は高くなります。明日も、来月も、来年も、安定した売上と利益を上げることが出来る蓋然性を、販売先の一覧、過去の実績、自社の優位性等に沿って説明することが肝要です。
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